調査診断報告

樹木医活動の報告 相談依頼のあった診断結果について

調査場所 兵庫県洲本市(大浜海岸)
調査日 平成31年3月15日
調査した
樹木医
伊達寛・鳥越茂・安田邦男・鶴田誠
依頼内容 2018年秋の2度の台風で、大浜海岸の黒松林は高潮のため冠水した。
その後2019年になってから、一部の黒松の針葉が茶色に変色した。
変色木については県林業試験場でマツノザイセンチュウの有無を調査中であるが、他の要因の有無と今後の対応策について診断依頼があった。
所 見 耐潮性が強いクロマツが高潮による冠水だけで致命傷になるとは考えにくい。ザイセンチュウについては調査中なので、他の要因についての調査となると生育基盤の現状を確認する必要がある。そのためエアースコップを準備した。
なお、黒松林内は夏季の水泳シーズンには無料駐車場として解放されている。
クロマツの状態に差が大きいので、①完全褐変葉成木②半褐変葉成木③正常緑葉成木④正常緑葉若齢木(2008年3月植栽・車両の踏圧をうけていない)の4例について、根元周辺表土をエアースコップで掘削して、細根(吸収根)の状況について調べた。4例とも地表面2〜3cmは白い砂の層で、その下に固結した砂の層があり、ドライバーが容易に差し込めないほど固結していた。①細根は認められなかった。②細根は認められたが、枯死したものが多い。③生きた細根は認められるが、確実な菌根は確認できなかった。④細根が多く、活力ある菌根も認められる。
クロマツの樹皮に傷をつけ、樹液浸潤状況を確認した。③施術後間もなく樹液が浸潤①10分程度経過後にわずかな浸潤が認められた。
調査・診断結果 クロマツの生育が不可能に近いほど土壌が固結しているので、この膨軟化が必要である。そのためにはエアーインジェクション工法が有効であろう。膨軟化すれば、自然と菌根菌が付着しクロマツは元気になる。
林内の駐車場利用については、クロマツにとっては車両乗り入れ禁止が望ましい。利用する場合は、車路・駐車位置を限定して踏圧を受ける場所を限定して根系が伸長できる区域を確保する必要がある。
調査場所 兵庫県明石市魚住町
調査日 平成31年1月31日
調査した
樹木医
木村昭義・宮田和男・鳥越茂・鶴田誠・山岡秀行・鬼丸貞秀・西田佳史
依頼内容 小学校の創立記念に植樹された(樹齢百年超)クスノキは、校舎増設やグランド整備などの影響を受け、自然樹形が崩れ樹勢が弱ってきた。平成20年度に太い支柱を立てる・土壌改良を行う・周囲に落ち葉堆積と踏圧防止のための柵を設けた。この結果樹勢は回復したが、近年また樹勢が悪化してきた。また、東側に伸びていて、今は枯れ枝となっている大枝をできれば残したい。どう対応すべきか?を指導願いたい。
所 見 クスノキの樹幹から2m離れた地点を掘削した結果、深さ15〜20cmの落ち葉層の下に、深さ60cmの真砂土の盛り土が見られ、経年経過で土が固結していた。この結果、透水性・通気性が悪化し、根系の健全な生育の阻害要因となり機能低下(樹勢悪化)を生じている。落ち葉の層の中には細根が多数伸長している。これは細根が硬い土中に入れないことを示している。この細根は、存在する土壌(保水)層が薄く、夏季の高温・乾燥に弱いので土壌改良により、深い土中に誘導してやる必要がある。
調査・診断結果 クスノキの周辺に10箇所程度、溝(縦50cm横2m深さ50cm)を掘り、土壌改良を行い、透水性・通気性を改善し、根系の健全性を上げて樹勢を回復させる。東側に伸びた枯れた太枝は現状のままで良い。
調査場所 兵庫県神戸市北区
調査日 平成30年11月13日
調査した
樹木医
鶴田誠
依頼内容 門担ぎの松
家は35年前に新築、門担ぎの松は20年ほど前に植栽。年1回剪定(父存命中は年2回)。梅雨前に2枝の葉が黄色に、8月に茶色に、範囲も広がる。8月に活力剤を撒いた。昨日もアクアリフトを撒いた。根元の土は1m四方に苔が生えている。この夏は週1回散水した。なんとか元気にしたい。
所 見 黒松は根元が20cmほど深植えになっている。平成7年の阪神大震災時には、すでに植えられていたそうであるから、25年ほど経過していることになる。一部には二段根が生じているであろう。植栽に使われている土は、篩い真砂土である。通気性・透水性が極めて悪く、苔が生えているのは当然である。
地上部は棚作りで、下部の針葉は色も鮮やかで健康である。上部3段は針葉が茶褐色になっている。続く2段は針葉の上半分が黄変している。また下部の棚の中にも、針葉の上端が黄変しているものがある。病害であろう。マツ葉ふるい病か松の赤班葉枯れ病が考えられる。
調査・診断結果 株元の深植えになっている土を5cmほど剥ぎ取り、ドライバーを差し込み回転させ穴を開ける。これにより通気性・透水性を改善させる。根元の範囲を3分割し、11月・1月・2月と順次行う。活力剤HB101を1,000倍に薄め散布する。
地上部は病害であるので、殺菌剤を散布する。11月・12月と20日おきに2回、春先になって2月中旬から20日おきに4回、病変部にも健全部にも散布する。薬剤は有機銅殺菌剤のキノンドーフロアブルの500倍液が良い。このとき展着剤にアプローチBIを500倍液になるように添用すると、薬剤に浸透性が強くなり薬効がさらに良くなると考える。
調査場所 兵庫県豊岡市日高町【太刀の宮神社】
調査日 平成30年11月11日
調査した
樹木医
浅田哲也・鳥越茂・鶴田誠
依頼内容 9月の台風により、境内のエノキの大木が倒れた。他の樹木は大丈夫だろうか?とくに幹回り4mもあるケヤキはどうであろうか?是非診断願いたい。
所 見 倒れたエノキの材がまだ現場にあったので詳しく観察した。倒木の原因は、根返りではなく根株腐朽によって、いわば地際から座屈した感じである。根株腐朽の原因は、根元に盛土した際の小さな傷から腐朽菌が侵入し、盛土した事によって水分が供給されやすくなり、腐朽が進んだものと判断される。
問題のケヤキは、平成14年の兵庫県巨樹調査報告書によれば幹周378cmで、今回の計測では404cmであった。この間の成長は順調と評価できるし、枝の伸長も順調で樹勢は良好と判断できる。またこのケヤキの太枝には地上から直接フジが登攀している。さらに古いフジの幹が腐朽したところを伝って、ケヤキが不定根を下ろしている。不定根はかなり太い。また樹皮の剥離も順調である。ただ隣接する国道上には何本かの枝が伸張している。
ケヤキに比べて国道に近いヒノキの根元を観察すると、株太りが見られない。すなわち根元に盛土されている。また地上3mほどの位置に溝腐れが見られ内部が腐朽していると思われる。また上部が三又になっており北側の国道方向に傾斜している。国道沿いのソメイヨシノも盛土され樹勢が非常に悪くテングス病も多数発生している。境内南側のシラカシは樹勢旺盛である。
調査・診断結果 ケヤキの国道上に張り出している枝は丁寧に切断する。ヒノキとソメイヨシノは伐採するべきであると判断した。
調査場所 兵庫県加古川市加古川町
調査日 平成30年10月21日
調査した
樹木医
米澤公夫・山岡秀行・鳥越茂・鶴田誠
依頼内容 大王松(シンボルツリー)の調子が悪い。推定樹齢40年程。
10月初め一枝が茶色くなる、その後茶色い部分が広がっている。
所 見 ダイオウショウでなく、スラッシュマツ(Pinus elliottii)と同定する。
また、樹齢50年と思われる。
根元の土壌を調べてみると、かなり固い、腐植質がない。これは根元周囲が真砂土により造成されている事、毎日校務員が掃き掃除をされているからである。吸収根を掘り出してルーペを使って観察すると、菌根菌が着生はしているものの何か活性が低いように感じられる。これは土壌が固く通気性が不十分なために、好気性菌である共生している菌根菌の働き(活性)が不十分な為であろう。
調査・診断結果 樹勢を盛んにするためには、根元に幅30cm深さ30cmのトレンチ(溝)を移植こてで掘り通気性を良くする事である。ただしその面積は全体の1/3を超えてはならない。またコツブタケを採取できた時は、子実体をミキサーで粉砕し水道水に溶かして、胞子液を作成してトレンチの上から散布すると良い。菌根が形成され樹勢は改良されるであろう。健全な樹木にする事を目的として、コツブタケの接種を提案する。
調査場所 兵庫県丹波市山南町【石龕寺】
調査日 平成30年10月7日
調査した
樹木医
中村辰巳
依頼内容 石龕寺の県指定樹木「コウヨウザン」が台風20号(平成30年8月23日~24日)により途中から3本に分岐した幹のうち2本が折損、その後の措置についての診断依頼。
所 見 幹の折損原因は、台風の風が谷筋に集中し、コウヨウザンの3本に分岐した幹の入皮による強度不足の箇所が折損。残った1本の幹は剪定をして折損を防ぐ必要がある。
調査・診断結果 コウヨウザンの残った幹、及び周辺の危険木(ナギ1本、コウヨウザン2本、イチョウ1本)の剪定を実施する。
調査場所 兵庫県神戸市須磨区
調査日 平成30年7月8日
調査した
樹木医
谷川亘・鶴田誠
依頼内容 団地内の道路のすぐ上の石垣の上に、広葉樹が5本ある。
道路側にもせり出しているので、この伐採の適否について相談したい。
所 見 樹種はムクノキと思われる。確かに道路上にせり出し、重心も道路上にあるようである。背後には他の樹木があり、そちらに枝葉を伸ばす事はできない。
それに、根元直下の高さ2mの間知石石垣が膨らんでいる。根系による圧力であろう。
別のところにもムクノキが1本あり、こちらも石垣の上で隣接地の駐車場の上にせり出している。落ち葉も全て隣接地に落ちている。石垣も膨らんでいる。
調査・診断結果 どちらも伐採は止もう得ないと判断される。
伐採だけでなく、石垣の修復も同時にすること。
また1本のムクの方は足場も悪いので、特殊な工法が必要である。
調査場所 兵庫県小野市
調査日 平成30年7月3日
調査した
樹木医
田中孝和・小椋美由紀・山岡秀行・鳥越茂・鶴田誠
依頼内容 庭のクスノキの大木の調子が悪い。
3年前にかなり大きな枝をシルバーに切ってもらったのだが
所 見 南に伸びていた大枝を切除しているが、50cmも伐り残している。
その他の枝も切り残しが多い。
地上1mのところで4幹に分かれており、ここに水が溜まっている。
明らかに樹幹に比べて、樹冠が小さく葉量が不足している。
早春の大量落葉は今冬の低温の性であろう。土壌もやや固い。
調査・診断結果 全ての剪定痕を伐り直し、傷口癒合剤を塗布すること。
中央部の水たまりは定期的に掃除する事。
土壌改良と排水をかねてトレンチを掘る。
南側は一切剪定しては行けない。
調査場所 兵庫県たつの市
調査日 平成30年6月24日
調査した
樹木医
井上泰幸・鶴田誠
依頼内容 庭のキャラボクの調子が悪い。
梅の花は咲いたが実が成らなかった。
表のイヌツゲも元気がない。
所 見 リュウノヒゲに地床を占拠されている。透水性・通気性に問題あり。
表も含めて、土が固い。造成後30年間一切掘り返してない。
穴を少し掘ると、真砂土そのものである。
調査・診断結果 排水を考慮した土壌改良が必要である。
トレンチ部分のリュウノヒゲは廃棄されたい。
キャラボクは高温に弱いので、竹簾の日除けをされたい。
調査場所 兵庫県宍粟市
調査日 平成30年6月12日
調査した
樹木医
鬼丸貞英・小椋美由紀・井上泰幸・鶴田誠
依頼内容 キャンプ場の大木の葉の出が悪い。
夏休みを目前に手を打ちたいが?
ネムノキもおかしい。
所 見 大木はクスノキであった。
よく診ると、下で火を焚いてない側でも葉の出方が少ない。
落ち葉を集めて検討すると、昨夏にクスノキヒラタカメムシに全ての葉を食害され、緊急に展葉した新葉は今冬の寒さにより落葉し、今春は丸裸となる。
現在潜伏芽が緊急展葉中である。
ネムノキは昨年の地盤変更の工事で根を傷めたものである。現在なんとか展葉中である。
調査・診断結果 クスノキ・ネムノキともに樹木自身の治癒力が十分にあるので、様子を見守る。
調査場所 兵庫県赤穂郡上郡町
調査日 平成30年5月6日
調査した
樹木医
鶴田誠・寺岡里江子
依頼内容 すぐ診てほしい。普段留守にしているので急いで!
庭のサザンカの大木が今年花が少なかった。
3年前シルバーが刈り込んだ。
葉裏が真っ白で少し分厚い(餅病かな?)
所 見 サザンカは樹高5m胸高直径45cmの大木。
地床にリュウノヒゲとハランが繁茂し通気性・透水性が悪い。
葉は餅病である。ただし少数。
調査・診断結果 餅病の罹病葉は取り除く。
サザンカと競合しているドウダンツツジは取り除く。
樹勢が落ちているので、トレンチを掘り排水を確保し、土壌改良を提案。
調査場所 兵庫県姫路市
調査日 平成30年5月1日
調査した
樹木医
鶴田誠
依頼内容 庭の針葉樹樹高2mの12ある葉の塊のうち半数が枯れてきた。
モミジは今年の若葉が出ない。マツには幹肌にコケが生えている。
地面にはリュウノヒゲを植栽している。
雑草は抜いたり刈ったりしている。
肥料や堆肥を入れた覚えはない。
所 見 針葉樹は棚作りのキャラボクであった。父親が亡くなってから20年手入れはされてない。リュウノヒゲがものすごく繁茂している。
このため、キャラやモミジに水も空気も供給されてない。
調査・診断結果 リュウノヒゲを取り除き、20cmの土壌改良を提案。
自分でコツコツとするというので、堆肥と木炭粉を届ける。
マツのコケはウメノキゴケだったので、風通しを良くするよう指導。
調査場所 兵庫県三木市
調査日 平成30年4月15日
調査した
樹木医
山岡秀行・中村辰巳
依頼内容 ①ゴヨウマツ
昨年、キンモクセイが害虫による喰害ため殺虫剤を散布。
②ウバメガシ
昨年、ラウンドアップを散布、昨秋には葉枯れ、枝枯れ症状あり。
③モッコク
下草除草に除草剤を散布。
所 見 ①南東側約3m離れたところのセンリョウに葉の薬害痕らしい症状やツツジ枯死木がみられる。かつて、この樹木が被圧し、ヒメコマツの日照に影響を与え南側の下枝が少ない原因と思われる。
②枯死枝に枯葉が残る。枝16本の内2本を残し枯損、また、株元近くからヒコバエ有り。
③上部の葉が小さく代謝活性がやや悪い。南側に下水道工事あり、太い根の切断の可能性も考慮。大枝枯損部、幹枯損部にモルタル詰めの治療痕あり。
外観評価
①良い。葉の密度が高く、やや小さい葉が多いが生育は良好である。
②悪い。②聞き取り調査から除草剤ラウンドアップの薬害が原因と推察されるが、今は除草剤の影響は無くなり、残った下部の幹と枝は回復期に入ったと思われる。
③普通。樹冠下の下草に除草剤散布の痕跡あり。
調査・診断結果 ①マツカレハ、イラガ等葉を喰害する害虫防除のため、7月上、8月末の2回程度の殺虫剤(スミチオン等)散布を推奨します。
毎年2月頃の寒肥(堆肥、油粕等の有機物、樹木用固形肥料など)を推奨します。
②生存している下部の2本の枝を残し、主幹切断、除去を推奨します。
虫害に対し、殺虫剤の散布を推奨します。
薬害回避するために、今後、農薬を使用する場合、登録内容の厳守をお願いします。
毎年2月頃の寒肥(堆肥、油粕等の有機物、樹木用固形肥料など)を推奨します。
③上部枯れ枝の剪定、除去。
下草は除草剤を使用せず、下草刈で対応することを推奨します。
毎年2月頃の寒肥(堆肥、油粕等の有機物、樹木用固形肥料など)を推奨します。
貴重な樹木であり、市のふるさと保存木として申請されることを推奨します。